(リンク:http://www.tokyoanime.jp/ja/award/winner/)
筆者も今年度は審査委員として参加してまして、3月24日の贈賞式を楽しみにしています。
どのクリエイターも功績が大きく、かねてから敬愛する方々ばかりです。特にそのキャリアの長さということでは、作曲家の渡辺宙明先生の受賞を嬉しく思っています。
本名は「宙明」を「みちあき」と読むのですが、先生自身が「“ちゅうめい”はペンネームです」と自己紹介されているように、その音楽は「宙明サウンド」と呼ばれて長年多くのクリエイターに愛されてきました。TVアニメの仕事は1972年の『マジンガーZ』からスタート。人が乗りこむタイプのスーパーロボットアニメというジャンル自体の立ちあげを、熱い主題歌・挿入歌とBGMで盛り上げました。同時期に特撮では『人造人間キカイダー』を手がけています。さらに1975年の『秘密戦隊ゴレンジャー』でスーパー戦隊シリーズの原点を担当。1982年には『宇宙刑事ギャバン』を手がけてメタルヒーローの原点に足跡をのこすなど、多くの原点にいるすごい方なのです。
とはいえ、これらが合流して今年のお正月映画『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』でも熱い新曲を提供し続けている。
近年の戦隊シリーズやプリキュアシリーズでも挿入歌をずっと作曲され続け、今なお新たな子どもたちを感動させる曲を書き続けているという、この継続感が、真にすごいことなのではないでしょうか。そんな風に、アニメ特撮業界全体で屈指の連続キャリアの持ち主であり、生涯現役クリエイターの頂点とも言える方なのです。
バンダイチャンネルの月額1,000円作品の中で宙明サウンドの魅力が端的に分かる作品としては、2003年のロボットアニメ『神魂合体ゴーダンナー!!』および翌年の『神魂合体ゴーダンナー!! SECOND SEASON』がオススメです。


(C)2003 Project GODANNAR (C)2004 Project GODANNAR
主題歌や挿入歌は水木一郎、堀江美都子、串田アキラという輝かしいアニソン巨匠の熱唱。BGMも歴代のヒーロー特撮やロボットアニメから、スタッフのリクエストも交えての勇壮かつ華麗な名曲がそろってます。敵の襲撃から発進、迎撃、変形合体まで、聴いてるだけで熱く体温が上昇する、そのエネルギーたるや、筆舌につくしがたい感動ものです。
「神魂合体=しんこん・がったい」ということで、高校生の新妻を迎えたパイロットがロボット同士で合体、という一見パロディ的にも見える要素が満載の作品ではありますが、物語の姿勢は実に真摯なもの。時に迎える夫婦の危機など、共感できる感情の描写と、過酷とも言えるシリアスな展開には、思わずうならされます。しかし、最終的にはリズミカルでパワフルな音楽に乗せた必殺技のカタルシスも待っている。
そんな風に、圧力の高まったドラマが、ロボットアニメのもつ勢いとパワーみなぎる宙明サウンドを触媒にして、爆発的な気持ちよさをもつ高みへといざなう。そんな作品ではないでしょうか。映像と音楽が互いに響き合って一体となったとき、つきぬけるような快感が訪れる瞬間を、ぜひ多くの方に体験していただきつつ、宙明サウンドの魅力を再確認してほしいなと思います。
では、また次回(一部敬称略)。

(C)2003 Project GODANNAR (C)2004 Project GODANNAR