
(C)BONES/STAR DRIVER製作委員会・MBS
五十嵐卓哉監督は東映アニメーションで「美少女戦士セーラームーン」シリーズ、「おジャ魔女どれみ」シリーズなど「魔法少女もの」の系譜にある長期番組をシリーズディレクターとして支えた実績があります。ボンズに移って以後は『桜蘭高校ホスト部』、『SOUL EATER ‐ソウルイーター‐』を監督し、華やいだ笑いの中にもダークな隠し味が潜むような人間の機微を描いてきました。その印象は『STAR DRIVER』にも続いています。
榎戸洋司は庵野秀明監督の『新世紀エヴァンゲリオン』に脚本で参加後、『美少女戦士セーラームーンSuperS』でシリーズ構成を担当、同じ幾原邦彦監督と組んだビーパパスのオリジナル作品『少女革命ウテナ』で大きな話題を呼びました。その後はガイナックスで鶴巻和哉監督とは『フリクリ』、『トップをねらえ2!』、錦織博監督とは『忘却の旋律』と、先鋭的な表現の作品に参加。五十嵐卓哉監督とは『桜蘭高校ホスト部』でシリーズ構成として組んでいます。
二人の作品歴を概観したとき、共通して感じられるのは「学園生活と群像劇」です。そこに舞台演劇にも通じる「装置」を持ち込み、アニメのもつ色彩や光と動きのコンビネーションをうまく使って、淡く移ろいいく心情と、激しさ、華やかさのコントラストをダイナミックに描きぬいています。決して真面目一辺倒ではなく、ユーモアとギャグで笑いをとりつつ、そこに心情や人間関係を何かにたとえた物件をポンとアクセントのように入れ、エロスを喚起するシンボルをまぶす。こうした起伏の積み重ねで、「人間くささ」が浮きたつ瞬間が生まれる……。
そんな風にとらえると、『STAR DRIVER』はまさに集大成と言えるかもしれません。
アニメが得意とするのは日常を超越するための仕掛け。その代表はお二人の作品歴に多い「魔法」で、そこには「変身」が大きな役割をはたしています。
もうひとつの代表は「ロボット」。それは「魔法」と同じく、主人公たち若者が「力」を得るための「変身」のバリエーションなのです。今に続く搭乗タイプの巨大ロボットの元祖『マジンガーZ』は変身ブームの元祖『仮面ライダー』に続いて同時代に生まれました。発端は同根なのです。それを「兵器」と定義づけたガンダムシリーズの影響で「リアル」が前面に出たために忘れられがちですが、大事な原点です。『STAR DRIVER』でロボットの起動にタクトの変身が重なったとき、何かたかぶるものを感じたのは決して偶然ではないのです。

(C)BONES/STAR DRIVER製作委員会・MBS
ミドルティーンが気持ちをパワーに転化してぶつける「巨大ロボット」は、日本で独自発達してきたアニメ文化ですから、今後も絶やさず続いていってほしいです。『STAR DRIVER』は、原点を回帰しつつ継承・発展させようとしている作品として、今後も目が離せませんね。ではまた次回(敬称略)。


